2017年のベートーヴェン詣企画は管楽器との五重奏でした。
強い情熱を持つ音楽仲間が世界各地から集結して、それぞれの経験がもたらすたくさんの引き出しが開かれ、個性と意見の交換が色とりどりの花を咲かせるとても楽しいひとときでした。次の公演に向けて毎回新鮮なアプローチで曲に接し、新しいアイディアが常に浮かぶのは作品への愛情が止まないからだと思います。
また、このようなメンバーが集まったことによって、ベートーヴェンの五重奏の素晴らしさに改めて気づきました。オペラ的な要素、即興性、シンプルなメロディの美しさ、若々しいユーモアなど、たくさんのベートーヴェンの魅力がしみじみと伝わってきました。そしてモーツァルトの五重奏からは円熟した完成度、そしてはかない美しさ、管楽器ならではの音色のハーモニーを私自身も楽しむことができ幸せでした。各地のホールの様々な音響も堪能でき、お客様が暖かく反応してくださいました。
また、藤倉大さんが素晴らしい作品を書いてくださったこと・・・皆で語り合い、アイディアを出し合い、そして思い切り演奏したいと思える傑作・・・に心から感謝です。この編成の新しい作品が生まれたことはなんて嬉しいことなんでしょう。今後もたくさんの音楽家の方々に弾いていただきたい作品です。
ツア―の終盤、もう親しくなり打ち解けてきた私達は沖縄での打ち上げでハブ酒をかなり飲みながら楽しい話が止みませんでした。公演中に感じる、音楽の対話が醸し出す作品のたまらない箇所が浮かんできて、酒に限らず音楽にも酔い、とても贅沢なツアーでした。ここまで一緒に音楽を極められたことは掛け替えのない思い出となりました。